パーキンソン病 病因・病態と治療,うつ・衝動制御障害
出版社:中外医学社
出版年月:2008年05月
ISBNコード:9784498128422
[序]
本書は2つの主題からなる.1つはパーキンソン病の病因・病態を考えそして治療さらには治癒への道筋を考えようとする少し野心的な主題である.病因は遺伝,環境要因を踏まえて,病態を炎症,酸化ストレス,蛋白凝集異常,αシヌクレイン凝集等,著者はいずれも現在望みうる内外,当代の第一人者である.治療はこれらの病因・病態を踏まえて遺伝子治療,神経保護薬,万能細胞移植などからなり将来への展望と大きな希望を感じさせるであろう.この書がパーキンソン病の治癒に向けての希望の書となるように望む.
第2の主題はパーキンソン病のうつと行動制御障害である.パーキンソン病の「うつ」は古くて新しい問題であり,パーキンソン病患者の生活の質を大きく阻害する要因として重要であり,運動障害よりも重視されている.その病態や原因,さらに治療の新しい考え方も知ることができる.近年,注目されてきた行動制御障害もパーキンソン病を治療する医療者には必須の精神医学的,行動心理学的知識となっており本書の総説は有用であろう.これらのことはパーキンソン病における脳科学研究の幅広さ・奥深さ,パーキンソン病研究の魅力を実感させるであろう.
パーキンソン病研究に関して基礎のみならず臨床においても進歩は大きく,臨床医の活躍の場は大きく,臨床研究の重要性が痛感される.多くの読者がこのことを共通認識として持つことができれば本書刊行の目的は半ば達したといえると思われる.
最後に外国からの総説の翻訳に関しては,我が国の各領域の専門家である坪井義夫,浅沼幹人,望月秀樹,菊地誠志,柏原健一,武田篤の各氏の翻訳および監訳をいただいて翻訳内容の正確を期した.各氏の協力なくしては本書の刊行は困難でした.心よりその尽力に感謝する次第です.
2008年3月
山本光利


